最先端科学とノイズ
各国がしのぎを削る先端科学の分野は、より高精度な研究が求められています。そこで使われている機器は、年々高性能なものになり、より微細なデータを扱えるようになってきています。反面、データが微細化するということは、ノイズの影響を受けやすくなるということでもあり、これまで以上に、ノイズのないクリーンな電磁環境が求められています。
国内研究機関でのトラブル事例
日本を代表するある研究機関では、数多くの優秀な研究者が在籍し、未来を創造するための革新的な技術研究を日夜行っています。そこに所属するE様は、超電導技術に関する研究を行っており、E様が使われている研究設備には、ヨーロッパ製の冷却システムが使われていました。この冷却システムは、仕様通りに正しく設置されていたのですが、システム内の米国製コンプレッサが動作すると、分電盤内に設置されている警報アラームが鳴ってしまうというトラブルが発生しました。
アラームを止めるだけでは済まされない。
警報アラームは漏電を検出するために設置されています。警報アラームが鳴る理由として、まず考えられるのは、絶縁不良などによる地絡です。そのため、警報アラームが鳴ると、火災を防止するために設備を停止させて、原因を調査する必要があります。調査の結果、コンプレッサから200mA程度の漏洩電流が発生していることが確認できました。しかしながら、絶縁不良などは見当たらず、地絡かどうかはっきりしません。しかも、このトラブルは1度限りではなく複数回発生しており、研究の大きな支障となっています。
今回の依頼内容は以下の通りでした。
- 警報アラームが鳴る原因を明確にしてほしい
- 漏洩電流は地絡に由来するものか判断してほしい
- トラブルを完全に解決する方法を教えてほしい
なぜアラームが誤動作するのか。
通常は、コンプレッサから発生した高周波ノイズが周囲の機器に被害を与えないよう、何らかのノイズ対策製品をコンプレッサに取り付けています。本来であれば、そのノイズ対策製品で高周波ノイズの流出を十分に防止することが可能です。
しかし、いくつかの悪条件が重なると、そのノイズ対策製品が高周波ノイズを拡散させる原因となることがあります。お客様に確認すると、機器のコンプレッサにもノイズ対策製品が取り付けられているということなので、その周囲を重点的に調査しました。
その結果、ノイズ対策製品からアースへ高周波ノイズが流出していることが確認できました。そして、警報アラームが鳴るのは、地絡が原因ではなく、ノイズ対策製品から流出した高周波ノイズが原因であることが確認されました。
《ノイズカットトランス™️》を装着する
高周波ノイズ流出の原因がノイズ対策製品であれば、それを別のものと交換するというのが、第一に考えられる方法です。しかし、それでは本来目的としたノイズ対策効果を得られない可能性があります。
そのため、代替手段として「コンプレッサの電源ラインに《ノイズカットトランス™️》を装着する」という手法を提案し、ご採用いただきました。
《ノイズカットトランス™️》装着後、警報アラームが誤動作することはなくなり、円滑に研究が行えるようになりました。
まとめ
【ポイント1】
悪条件が重なると、ノイズ対策製品が高周波ノイズを拡散させる原因になることがあります。
【ポイント2】
ノイズ発生源の電源ラインに《ノイズカットトランス™️》を装着する対策方法があります。
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障害波遮断変圧器《ノイズカットトランス™️》をもちいたノイズ対策の基本的な考え方
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