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塗装用ロボットが動作すると、漏電ブレーカがトリップする

導入事例
2019.08.22

この記事はトラブルの内容を分かりやすくご紹介するために、情報を簡略化して掲載しています。

塗装用ロボット製造会社 A社

A社は、塗装用ロボットの開発・製造をしているメーカーです。あるユーザーより製造ラインの拡大に伴い、塗装用ロボットを5セット増設したいとの引き合いを受けました。この客先とは以前から取引があり、塗装用ロボットを過去に複数台納入したことがあります。

 

客先との打ち合わせの結果、従来納めていた3軸塗装ロボットではなく、より細かな動作が可能で、入り組んだ部位もムラなく均一に塗装できる新型の5軸塗装用ロボットを提案しました。

新型の塗装用ロボットはA社が将来の主力製品として開発した自信作です。この客先に正式採用されれば他社への営業展開に弾みがつくため、万全の態勢を整えました。最初の1台目を搬入し、立ち上げ作業は順調に進み、もう少しで客先に引き渡しができるところまできました。

ところが、ユーザーより不具合が発生したとの連絡を突然受けました。客先の話では、「既存の塗装用ロボットの漏電ブレーカが不定期にトリップするようになってしまったが、そのトリップするタイミングが新型ロボットの動作のタイミングと重なっており、新型ロボットに何らかの問題があるのではないか」とのことでした。そして、「新型ロボットをいれたせいで他の製造に影響がでてしまうようでは、受入れ検収はできない。至急原因を探り対策をするように」との指示を受けました。

A社は原因の調査を行いました。施工に問題がなかったか、配線方法に誤りがないか、システムのプログラムに問題がないか……多方面から探りましたが、原因は全く見つかりませんでした。

サーボから高周波の漏れ電流が流出していた

漏電ブレーカは感電事故の防止を目的に設置され、地絡を検知すると電路を遮断します。しかし、今回は地絡の原因となる絶縁不良などの問題が見当たらないため、別の原因があるのではないかと考えられます。

新しい塗装ロボットは複雑な動きを実現するために、従来製品よりも多くのサーボを搭載し、各サーボにはEMI規格に準じたLCフィルタを使用していました。しかし、いくつかの悪条件が重なり、アース電位を変動させてしまいました。そのため、既存ロボットの系統のアース電位が変動してしまい、その結果既存ロボットの漏電ブレーカが誤動作を起こしたのだと考えられます。

サーボの電源ラインに障害波遮断変圧器《ノイズカットトランス™》を装着

そこで、LCフィルタからアースに流れた高周波ノイズが周辺機器に影響を与えるのを防止するために、新型ロボットのサーボの電源ラインに障害波遮断変圧器《ノイズカットトランス™》を装着しました。その結果、既存ロボットの漏電ブレーカの誤動作は起こらなくなり、新型ロボットは無事に検収されました。

ここがポイント!!

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