部品加工会社 C社
C社は、様々な部品を加工・製造する会社です。これまで溶接の工程は手作業で行っていましたが、熟練者の定年退職などによる技術の喪失が問題となっていました。そこでC社は最新式の自動プラズマアーク溶接機を導入することで、この問題に対応しようとしました。
このプラズマアーク溶接機は、材料の搬送から溶接までを全て自動で行うものです。部品ごとにプログラムされた複数の制御パターンにしたがって、サーボモータで駆動するロボットアームが材料を作業台にセットし、様々なセンサを用いて溶接ポイントの位置決めをし、あらかじめプログラミングされた溶接作業を行います。また安全性を高めるために、位置検出センサや近接センサを設置しています。一連の動作は制御システム部がコントロールします。
ところが実際に運用を開始してみると、システムの異常停止や不良品の発生など、様々な不具合が起きてしまいました。
C社はメーカの担当者を呼び、至急対策するよう依頼しました。メーカ担当者は、ロボットアームを動かすサーボがノイズ発生源となりやすいこと、そしてプラズマアーク溶接機がノイズを周囲に流出させている可能性があることを考え、それらのノイズがセンサに悪影響を与えているのではないかと推測しました。そこで、メーカ担当者はセンサのノイズ対策を行いました。しかし状況は一向に改善されず、不具合は依然として発生し続けていました。
高周波ノイズがプログラムをリセットしていた
確かに、サーボやプラズマアーク溶接機はノイズの発生源になりやすく、またセンサはノイズの影響を受けやすいため、「ノイズがセンサに悪影響を与えている」可能性は十分にあります。しかし、ノイズはセンサ以外にも様々な電子機器に悪影響を与える可能性があるため、より広い視野で問題をとらえる必要があります。
そこで、ノイズがどのような経路で自動プラズマアーク溶接機に侵入しているのか確認したところ、制御システム内のPLCの電源ラインにノイズが侵入しているのを観測しました。
一般的にはあまり知られていないことですが、PLCに電源ラインからノイズが侵入すると、PLC内に保存してあるプログラムがリセットされてしまうという現象がしばしば発生しています。
そこで自動プラズマアーク溶接機のPLCを調べたところ、やはり一部のプログラムがリセットされていました。
これらの状況から、プラズマアーク溶接機で発生した高周波ノイズが、電源ラインから制御システムのPLCに侵入したことでプログラムがリセットされ、その結果システムの異常停止や不良品の発生などの不具合が発生したのだと推測しました。
電源ラインに《ノイズカットトランス™️》を装着
そこで、プラズマアーク溶接機の電源ラインから流出したラインノイズが、制御システムの電源ラインへと伝導するのを防止するために、PLCの電源ラインに障害波遮断変圧器《ノイズカットトランス™️》を装着しました。これにより不具合は改善され、安定的に稼働するようになりました。
ここがポイント!!
電源ラインを伝導するラインノイズには、障害波遮断変圧器《ノイズカットトランス™️》を装着するのが有効な対策方法です。
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