POSシステムを襲うノイズ障害
POSシステムは、スーパーやコンビニなど、私たちの生活になくてはならない所で使われています。いまや現代日本の重要なインフラの1つとも言えるPOSシステムに、ノイズの脅威が襲いかかることがあります。今回は、ノイズによってPOSシステムが誤動作した例をご紹介します。
POSシステム開発メーカーに届いたクレーム
A社様は、小売店用の新型POSシステムを開発・販売しています。新型POSシステムは、タブレットタイプのものです。
従来のPOSシステムは据え付けタイプが一般的でした。しかし、据え付けタイプは本体価格が高額な上、導入するための工事が大掛かりなものになります。そのため、小規模な店舗では導入が難しく、普及の足かせとなっていました。
一方、タブレットタイプのPOSシステムは、本体価格が比較的安価で、さらに通信はすべて無線LANで行うため、大きな工事は不要です。こうしたメリットにより、これまでPOSシステムの導入をためらってきた方々に大変喜ばれ、年々シェアを伸ばしています。
A社様もタブレットタイプのPOSシステム普及に力を入れ、多くの店舗へ納入してきました。ところが、最近新しく納入した店舗から「誤動作が起きて操作ができなくなってしまう」とのクレームが届きました。
充電中に操作ができない!
タブレットは内蔵の電池を電源とするため、定期的な充電が必要となります。本来であれば、充電中であっても、タッチパネルに触れば動作する設計となっています。しかし、この店舗では充電中にタッチパネルに触ると誤動作が起きてしまい、使用できなくなってしまいました。
店舗内にあるタッチパネルは計2台です。もし2台のタッチパネルが同時に使用できない状態になれば、営業を続けられなくなります。やむなく、この店舗では「2台同時には使用せず、1台は必ずストックしておく」という対応を取りました。これにより営業停止は回避できたものの、作業性は著しく低下してしまいました。
A社様はこのトラブルを解決するために連日調査を行いました。店舗が営業中の昼間は調査が難しいため、夜間の作業が多くなります。しかし、夜間は誤動作がほとんど再現されないため、原因の特定が難しく、暗中模索の日々が続きました。
原因を特定し、トラブルを解決したい
A社様からの依頼内容は以下の通りでした。
- トラブルが発生した原因を特定してほしい
- トラブルを解決するための方法を教えてほしい
充電中にノイズが侵入していた!
今回調査対象となったタブレットは静電容量式のタッチパネルを採用していました。静電容量式のタッチパネルは、指先とタッチパネル表面の間にある「静電容量」という電荷の変化を検知して操作します。
静電容量の変化は大変微弱なものであるため、外部からのノイズに弱いという特徴があります。そのため、今回のトラブルもノイズが原因の可能性が高いのではないかと予測しました。
次に、そのノイズが侵入する経路を考えました。ノイズには空気中を伝わる放射ノイズと、電源線・信号線などを伝わる伝導ノイズがあります。タブレットを充電器から外した状態でトラブルが起こるのであれば、放射ノイズが原因である可能性があります。しかし、今回は充電器につないだときにだけトラブルが発生しました。
以上の事から、今回の事例は、電源線を伝わる伝導ノイズが、充電器を通してタブレットに侵入することがトラブルの原因だと推定しました。
《ノイズカットトランス™️》を導入
今回の事例は電源からノイズが侵入していたため、電源のノイズを除去できる《ノイズカットトランス™️》を導入しました。
《ノイズカットトランス™️》装着後、トラブルは完全になくなり、正常に営業できるようになりました。
まとめ
【ポイント1】
トラブルが発生する状況やタイミングを確認することが大事です。今回の場合は、タブレットを充電している時のみにトラブルが発生していたことから、電源線を伝わる伝導ノイズが原因であると突き止めました。
【ポイント2】
電源線を伝わるノイズの除去には《ノイズカットトランス™》が有効です。
障害波遮断変圧器《ノイズカットトランス™️》をもちいたノイズ対策の基本的な考え方
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