活躍の場が広がるLEDビジョン
近年、LEDビジョン(ディスプレイ、スクリーン)が活躍する場面はますます広がっています。
デジタルサイネージとして従来よく用いられてきた液晶ディスプレイには、
- 周囲の外光を反射する
- 大型化が難しい
などの欠点がありました。
それに対して、LEDビジョンは液晶の数倍の明るさがあるため利用する環境に左右されず常に美しい映像を映し出すことが可能です。また複数のユニットを連結することで画面を簡単に大型化することができ、複雑な画面配置も可能です。そのため、屋内のモニタや街角の広告、駅前の大型ビジョン、テレビの音楽番組の舞台背景やコンサートの演出など、幅広いシチュエーションで使われるようになりました。
しかし、さまざまな場面で活躍するLEDビジョンにも弱点があります。LEDビジョンは「発光ダイオード(Light Emitting Diode)」という半導体を発光させることで文字や画像を表示し、その発光ダイオードの動作はコンピュータによりコントロールされています。そのため、LEDビジョンは繊細な電子機器であり、外来のノイズにより思いもよらないトラブルが発生することがあります。
映像制作会社 M社
M社はコンサートの舞台背景となる映像を製作する会社です。アーティストの演出プランにそって映像を製作し、それを舞台に設置したLEDビジョンに表示します。M社はLEDビジョンも自社で保有しているため、映像制作だけでなくLEDビジョンの設置や操作も担当しています。
今回、1万人規模のコンサートの映像演出をM社が担当することになりました。事前のリハーサルではLEDビジョンは何事もなく映像を表示していたのですが、コンサートの本番中に大型LEDビジョンの一部が突然ブラックアウトしてしまいました。この日のコンサートのために何ヶ月も前から準備していた映像が台無しになってしまい、アーティストやスタッフ、そして観客の皆様に大きな迷惑をかけることとなってしまいました。
実は、同様のトラブルは過去にも何度か発生したことがありました。それらと比較しても、今回のトラブルは被害がとても深刻なものでした。
M社はコンサート終了後、画面がブラックアウトした原因の調査をLEDビジョンのメーカに依頼しました。メーカはLEDビジョンのLEDユニット本体や映像コントローラに故障があったのではないかと疑い、長い時間をかけて原因となり得る異常箇所の有無を検証してみました。しかし、異常は全く見当たらず、メーカが動作確認をしても本不具合が確認されることはありませんでした。
そのため、メーカからM社へはLEDビジョンに異常は無いとの報告がなされました。しかしM社としては、トラブルの原因を特定して再発防止策を講じない限り、このLEDビジョンを今後のコンサートで使うことはできないと考えていました。
状況が行き詰まる中、不具合の原因はノイズかもしれないとM社は疑い、当社へノイズ調査を依頼されました。
ノイズシミュレータを用いてイミュニティ試験を実施
ご依頼を受けて、当社はLEDビジョンに対するイミュニティ評価試験の実施を提案しました。
イミュニティ評価試験とは、インパルスノイズシミュレータを用いて高周波ノイズを擬似的に発生させ、その高周波ノイズを電子機器の電源線・信号線に印加し、高周波ノイズが電子機器に侵入した際に誤動作を起こすかどうかを確認する耐性試験です。
今回は、LEDユニットと映像コントローラそれぞれの電源線に高周波ノイズを印加し、コンサート時と同様のトラブルが再現されるかを試験しました。
試験の結果、映像コントローラの電源線に高周波ノイズを印加すると、コンサートで発生した不具合と同様のLEDビジョンの一部がブラックアウトする現象が再現されました。このため、今回のトラブルの原因は高周波ノイズである可能性が高いと判断しました。
映像コントローラの電源に《ノイズカットトランス™》を装着
そこで、映像コントローラの電源ラインに障害波遮断変圧器《ノイズカットトランス™️》を装着した上で、再度イミュニティ評価試験を行いました。その結果、ノイズシミュレータで印加できる最大のノイズレベルである2,000Vを印加しても、不具合は再現されなくなりました。
以上の試験結果に基づき、当社はM社に対し映像コントローラの電源ラインへ《ノイズカットトランス™️》の装着を推奨いたしました。
その後、M社ではコンサートの際に必ず映像コントローラの電源ラインに《ノイズカットトランス™️》を装着されるようになりました。それ以来、LEDビジョンがブラックアウトするという現象は二度と発生しなくなり、安心してお客様に美しい映像を提供できるようになりました。
ここがポイント!!
同様のトラブルでお困りの方は、当社までお気軽にご相談ください。
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